sincrime’s diary

ビジネス 人生

藤沢周文藝春秋8月2015年。
世阿弥の糸」
世間から逸れ始めた中年おとこがひとり旅をする。立ち位置も定まらぬ足元がさらに朦朧となって、何処に向かうのかも分からない。だが、土地土地の美しい風景が開示する世界の無限性に打たれて魂の黄昏とともにことばを失う。その時に地霊や伝説や死者たちの声が滑り込んでくるのだ。
死と官能のあわいに揺らめくもの。それは無意識にも何かに操られているのを感じた。
世阿弥の糸に導かれて、私は彼岸と此岸の「界」を漂泊しているようだ。
蝋燭能。正法寺新潟県佐渡。宿根木。

小林秀雄 講演 文学と自分
「作品とは芸術家がこころを虚しくして自然を受け納れるその納れ方の刻印」
作品=刻印。

表現をする自分をいかに無にしていくか。書く、演じる、舞う、奏でる、という段階では全く芸術ではない。